近年、プロスポーツのジャージーはシンプルなものになりつつあります。
生地はほぼポリエステル。
背番号パッチもサッカーなどは「バー系マーク」が大勢を占めており、プロ野球ユニでは「昇華プリント」によるものが増えてきています。
ユニフォームの軽量化により選手のパフォーマンスが向上するのは嬉しい反面、コレクターとしては少し味気ない気もします。
「昔は良かった」などと年寄りじみたことを言うのではありませんが、無骨ながらも華を感じさせるヴィンテージユニフォームは現在のものとは異なる良さがあることも否めないと思います。
今回はそんなヴィンテージユニフォーム、特にスポーツ黎明期のものを集めた本を入手しました。
『Antique Sports Uniforms&Equipment』
1840年から1940年代までの野球、バスケ、アメフトのジャージーやボールといった所謂「スポーツ用品」を掲載しています。
例えば
これは1870年ごろの野球ジャージー
機能性とは無縁に見える「前掛け」が付けられていますが、貝から削り出したボタンなど趣向を凝らしたものになっています。
1891年ごろのアメフトの「鼻用」防具
当時は革製のヘルメットが多く、今のような鉄線の防具はありませんでした。
防具が未発達な中で怪我を減らすための試行錯誤が行われていたのが見て取れます。
1938年のバスケユニフォーム
ずり上がらないようにシャツの下端がロンパースのようになっています。
現在に続く工夫ではなかったことを考えると、当時も万人がシャツのズリ上がりに困っていたわけでは無いのでしょう。
興味深いアイテムが並ぶ中、中でも私が惹かれたのが女子バスケットのジャージー。
男性用とは異なる方向性のデザインは現在から見るととても新鮮です。
当時考えられていた「女性らしさ」が反映されているからでしょうか。
他にも試行錯誤が見られるバットや「指無し」グローブなど珍しいアイテムが多く掲載されています。
アイテムの進化を知るとともに、白黒写真時代のユニフォームが持つ本来の鮮やかを楽しめる一冊です。