現行ラベルの運用年数
現行(※2023年3月現在)のPSAラベル(以下「第10世代ラベル」)が導入されたのは2017年頃のことです。
第10世代ラベルはセキュリティを高めるため、UVインクやQRコードを採用し、特にLighthouse Labelは偽造防止に大いに役に立ってきました。
しかし、導入から約6年が経ち、そのセキュリティ技術も徐々に陳腐化の様相を呈しているようです。
過去のPSAラベルの変遷を見ると、短くて1年、長くて6年程度でラベルフォーマットの改定が行われています。
第7世代ラベルは例外的に8年運用と長かったのですが、それでも6年目にラベル裏面の改定が行われています。
推測ですが、ラベルのセキュリティ技術の寿命は長くて6年ということではないでしょうか。
fakeの出現
マーケットを見回してみても、「ラベルの機能寿命」は実感されます。
2019年時点のPSAラベルfakeは第7世代が中心で、第10世代ラベルのfakeはほぼ皆無でしたが、
2022年以降は第10世代ラベルのfakeも見かけるようになってきました。
個人的に第10世代ラベルのfakeの増加を最初に実感したのはTCG界隈です。
トレカの価格および市場規模がTCGのほうが高く且つ大きく、また新規参入コレクターも多いことから、同分野でのfakeが増えるのは当然のなりゆきでしょう。
対して、スポーツカード界隈では2022年末~2023年に第10世代ラベルfakeが発見され始めた印象です。
これは贋作師のターゲットがTCGからスポーツカードに変更されたというよりも、ターゲットが広がったとみるべきでしょう。
以下では、スポーツカードで発見・報告されたfake第10世代ラベルを検証していきます。
fake第10世代ラベルの検証
fake第10世代ラベルの疑いのあるカード(以下「fake」)はeBayで発見されました。
1986 Fleer Michael Joradn #57です。
比較としてPSAのデータベースから第10世代ラベルを持つ同カードを引用します。
検証手順
1つの検証のみで真贋を判定するのはリスクがあるため、以下の3点を検証します。
①Cert #検証
②ラベル検証
③ホルダー検証
Cert #検証
まずはPSAラベルに記載されているcert#(証明番号)がPSAに登録されているか否かを確認します。
fakeラベルのcert#を入力したところ、レスポンスは「証明番号が見つかりません」でした。
fakeラベルのコードのスキャンも不可だったので、cert#検証の結果は「クロ」とします。
ラベル検証
ラベルの検証では「フォーマット」と「書体」に注目します。
まずフォーマットは第10世代ラベルのものに則っているようです。
次に各フォントの書体を確認しましょう。
正規のラベルの書体と比較すると明らかに異なる文字がありました。
「R」と「#」に顕著な違いが見られます。
書体相違が複数見つかったため、ラベル検証の結果も「クロ」と評価します。
ホルダー検証
ホルダーもラベルの変遷と同じようにその形状を変化させてきています。そのためホルダーを検証することもfake判定の一助となります。
偽造防止のためにPSAが用意している、ホルダー下部の「PSAロゴ」についてfakeのホルダーと正規ホルダーを比較してみましょう。
画像は粗いですが、fakeホルダーにはPSAロゴがありません。
つまりホルダー検証の結果も「クロ」となります。
なお、第10世代ラベルに使用されているホルダーは、途中でロゴ改定が反映されており、2種類のホルダーが存在しています。
ホルダーのロゴ比較の際にはご注意ください。
結論
検証結果の纏めは以下の通り
①Cert #検証:クロ
②ラベル検証:クロ
③ホルダー検証:クロ
検証によってfakeである可能性が確認できました。
今後の予想
冒頭でも記載した通り、ラベル改定周期からみると新たなラベル、「第11世代ラベル」の登場もそう遠くはないかもしれません。
以前、アナリスト説明会でコレクターズユニバースが述べた「トレカにもPCGSと同じような施策を講じる」は実現されていないため、
新ラベルではセキュリティ技術の高度化が期待できると思います。
一方で、新ラベルがリリースしても既に世に出ている第10世代ラベルはそのまま残ります。
一大グレーディングブームを巻き起こしたトレカバブルのほぼ全期間をカバーしている第10世代ラベルのカードは膨大なものになるでしょう。
贋作師たちが「木」である偽物を隠す場合、「森」は広大であればあるほどよいはずなので、
将来的に第10世代ラベルは第7世代を超えるfakeラベルを抱えるリスクがあるようにも思われます。