【トレカ】グレツキーT206ワグナーの歴史(その3)


1991年 グレツキーT206ワグナーの誕生[価格:$451,000]

取引関係

マストロからコープランドの売却意向を聞いたサザビーズオークションはその依頼を受諾し、800余点を「コープランドコレクション」として大々的に宣伝します。

そのなかにはマストロがコープランドに売却したT206ワグナーも含まれていました(上のカタログでは中央にT206ワグナーが掲載されています)。

T206ワグナーの落札予想額は$114,000。コープランドが11万ドルで購入してから4年ということを考慮すると、当時としては妥当なラインだったのかもしれません。

しかし、オークションが終わってみれば落札額は$451,000と予想額の4倍近い高額。

 

さらに話題を呼んだのは落札したのがNHLのウェイン・グレツキーだということ

(正確にはグレツキー単独ではなく、L.A.キングスのオーナー、ブルース・マクナルとの共同落札でした)。

 

これでここに「グレツキーT206ワグナー」が生まれました。

 

 

補足

T206ホーナス・ワグナーにとってグレツキーは決定的に重要なファクターでした。

なぜなら、後のオーナーであるギドウィッツ(彼については後述)が語っているとおり、このカードに「スーパースターの所有物だった」という付加価値がついたからです。

 

一方で、グレツキーにとってT206ワグナーはどんな存在だったのでしょうか。

グレツキーの言によるとT206ホーナス・ワグナーを購入したのは「スポーツカードのマーケットが堅調に見えたから」。

つまりグレツキーにとってはT206ワグナーも数ある投資物件の1つだったということです

 

おそらく「野球カードへの投資」という発想自体もグレツキーのアイディアでは無いでしょう。

この時期、マクナルとグレツキーはしばしば共同でビジネスを行なっていたようです。

グレツキーとマクナル

 

オーナーと選手という関係を考えると、マクナルからグレツキーにコープランドコレクションの話を持ちかけたのではないでしょうか。

 

そのマクナルは、キングスのオーナーになる以前、アンティークコインの取引で財を成し、実業家に仲間入りしました。

その点では彼も「成功者」なのですが、その一方で、当時アンティークコインの密輸に手を貸し違法な利益を得ていたのではないかとの指摘がなされています。

更に、1997年には詐欺を働いたとして訴追されることになり、コープランド同様、マクナルもグレツキーT206ワグナーを手放した後は下降線を辿る運命にありました。

【その4に続く】