Sports Collectors Digest(SCD)の7月号で「カードグレーディングの歴史」という特集が組まれていました。
ちょっと興味深い内容だったので、要約してご紹介します。
グレーディングビジネスの祖
カードグレーディングというと「PSA」から歴史が始まったように思っておりましたが、
1980年代に最初期のグレーディング会社が立ち上げられていたそうです。
その1つがASA (Accugrade Sportscard Authentication)
※画像はBlowout card forum(https://www.blowoutforums.com/showthread.php?t=1189579)より
さらにもう1社SBC (Superlative Baseball Card Certification) があったそうです。
※画像はCollectors Universe forum(https://forums.collectors.com/discussion/853226/what-does-sbc-stand-for)より
この2社のグレーディングを見るとASAが「透明のグレーディングケースに10段階評価」、SBCが「黒地のグレーディングケースに100段階評価」と、それぞれの仕様は後のPSAおよびSGCに引き継がれたようです。
PSAの誕生
1991年になると業界の最大手たる「PSA」が事業をスタートします。
しかし事業は順調とはいいがたく、グレーディングが受け入れられるまでは困難な時期を過ごしていたようです。
風向きが変わったのは1998年。
1998年におけるキーファクターとしてSCDは3つの出来事を掲げています。
1つめはMLBでのマグワイアとソーサのホームランレース
2つめは「.com」バブル
3つめは設立から3年目を迎えたebayの盛隆
これらによりコレクターの「より状態のよいカードへの欲求」が高まり、グレーディングが普及していったというわけです。
ライバル社の設立
SCDが述べたグレーディングの普及を裏付けるようにこれ以降、グレーディングビジネスの参入が相次ぎます。
まず転機となった1998年に「SGC」がグレーディング事業をスタート。
そして翌年(1999年)にはBeckettが「BGS」ブランドでグレーディング事業に参入します。
こうして今に続くグレーディング3強が出揃いました。
泡沫グレーディング会社
なお、このグレーディングブームに乗るため、多くの会社がグレーディング事業に参入したとSCDは記しています。
そのなかでも注目すべきは「Class AA: Investment Grade」
これはMLBのHOF、ローリーフィンガースが設立したグレーディング会社だそうです。
ラベルの裏の「髭ロゴ」がお茶目ですね。
しかし、これら泡沫グレーディング会社は「3強」に食い込むことができず消えていきました。
3強の強み
SCDはPSA、BGS、SGCの各社に自社の強みをインタビューしています。
要約すると以下の通り。
「PSA」
業界のトップリーダー。カード以外(サイン、バット、フォト等)の鑑定サービスのワンストップ提供
「BGS」
グレーディングケースでの差別化(ケースのソニックウェーブ接着、加工、ケース内スリーブによる保護)
「SGC」
ビンテージカード鑑定における業界2位のBGSを凌ぐ実績およびコレクターからの支持
30年目の節目
今年2021年はPSAが事業を開始してから30年という節目の年です。
この30年でグレーディングサービスは大きく成長した一方で、改善すべき課題が明らかになってきているというのも否めない事実ではないでしょうか。
「The CSG holder and label are also game-changers in the industry. 」とうたっているCSGの参入により変革がもたらされるのか、それともCSGが淘汰されるのか、注目していきたいと思います。