【実使用/トレカ】ジャージータグの見方

 

Q.ジャージーのタグから何が分かりますか。
A.使用された年代やメーカー、そして真贋判断の手掛かりなどが分かります。

 

メーカータグを読み解くことの意味

目の前にあるジャージーがどんなものかを知りたい場合、まずは「タグ」を見ることはつとに知られています。

 

例えば、前野重雄氏の著作にも以下のような記述があります。

…”鑑定依頼品”がユニフォームだと、島田紳助・石坂浩二両氏がボクが出る前に裾のタグを、こちらの会話など(実は)上の空で先にめくっていたりする…」(『球界遺産』)

タグを読み解くことでわかることとは何か?

それを私は「そのジャージーの真偽に関わる手がかり」だと思っています。

 

ところで、NPBやNBAのジャージーでは比較的タグに使用年代が記載されています。

他方、MLBでは記載されていないことのほうが一般的のようです。

そのためMLBジャージーの場合、タグをただ眺めただけでは表面的な情報しか得られません。
しかし、適切な資料を準備し、適切な道順を辿ればジャージーの使用年代が明らかになり、それを選手の競技期間と比較することでジャージーの真贋判断の材料が得られるということになります。

 

 

 

タグを見るためのポイント

 

以下のプロセスは私が経験的に行なっているもので、PSA/DNAやMEARS等のプロ鑑定家のプロセスを模しているものではありません。そのため、厳密な判定ではないことをご了承ください。

 

タグを見る上でのポイントとは以下の2点です。

年代別のデザインの変化を理解する

メーカーのタグは年代とともに少しずつ変化しています。その変化を知ることができればジャージーの年代を特定できます。

 

球団が採用していたメーカーを知る

どの時期にどの球団がどのメーカーのジャージーを採用していたかを理解することで、そのジャージーが当時のものかどうかの見当をつけることができます。

 

 

 

頼れる参考書

 

上記「タグを見るためのポイント」で掲げた情報を個人で集めるというのは容易ではありません。

そこでなんらかのデータベースが必要となります。

私がMLB関連で常用しているのはWilliam F Henderson氏が著した
Game Worn Guide MLB Jerseys 1970-2017:English Edition
です。

これは1970年から2017年までの各球団のジャージーに関する情報が詰まっており、メーカータグの特徴の時代別変化、球団採用メーカーなどが事細かに並んでいます。

 

値段も少々張りますが(確か$50前後)、MLBのGUやトレカ(特にパッチ)を調べる際にとても重宝ですので、ヴィンテージ実使用ジャージーや特殊パッチカードを積極的に収集したいという方にはお勧めします。

なお、以下で掲げるタグの画像も基本的に同書から引用させて頂いています。

 

 

 

マジェスティック社のタグの変遷

 

では例として『マジェスティック社のタグ』の変遷を見ていきましょう。

同社は2000年からMLBジャージーの公式サプライヤーとなり、
2005年以降全球団がジャージーのメーカーとして採用しています。

2000年〜2012年前半(A)

2012年後半〜2015年(B)

2016年〜2017年(C)

 

<Cool Base/Flex Base>
2005年〜2012年(A’)

2012年〜2015年(B’)

2016年〜2017年(C’)

 

 

まず、(A)と(B)の違いは「Majestic」の「M」にあります。
(A)は丸みを帯びていて、(B)は鋭角になっています。

次に(C)ですが、こちらは双子の山(ツインピークス)のデザインが(A)&(B)と異なっています。

 

 

またCool Base/Flex Baseのタグは?というと、
(A’)と(B’)の違いは先程と同じく「Majestic」の「M」。

(C’)はそもそもデザインが(A’)&(B’)から大きくチェンジされています。

これでマジェスティック社のタグの年代順の変遷をおさえることができました。

 

 

 

練習:チッパージョーンズのタグカード

 

マジェスティック社タグの変遷を踏まえたところで、具体的にジャージーの年代を推測するプロセスに進んでみましょう。

 

この練習の「お題」として私がオススメするのはトレカのタグカードです。

 

というのも、

①タグの画像がネットで簡単に見つかり、かつ
②カードの窓の大きさにより推測しやすかったり難しかったりと色んなケースを練習できるから、

です。

 

今回はeBayから画像を引用してきた「2017 Topps Definitive Chipper Jones」に使われているタグの年代を推定してみます。

タグのデザイン
デザインを見てみると、タグの中央を赤いラインが走り、下半分を青く塗られています。

これは先程見たタグの変遷でいうと(A’)と(B’)のデザインと一致します。

 

 

(A’)と(B’)の違い
(A’)と(B’)の違いは「Majestic」の「M」でしたね。
このタグはというと…鋭角のMです。

ということは2012年から2015年の間に使用されたジャージーということになります。

 

 

球団の採用メーカーとの合致
「2012年」ということは全球団でマジェスティック社製が採用された2005年より後なので、ブレーブスのジャージーがマジェスティック社でもなんらおかしくありません。

 

 

チッパーのキャリアとの比較
タグの年代が推定できたら、次にチッパージョーンズのキャリアと比較します。

もしチッパーがタグの推定年代である2012年より「前」に引退していた場合、2012年製のジャージーでは矛盾が生じます。
そのため、齟齬を来さないためには「ジャージーの使用年度」と「選手のキャリア」が重なっていなければなりません。

チッパーの経歴をみると

2012年に引退しているため、このジャージーの使用期間と最後の1年でなっています。

つまりタグの情報からすると、このタグは『引退年(2012年)に使用されたジャージー』のものという結論になります。

 

 

 

フルサイズジャージーでのタグチェックの効果

 

フルサイズのジャージーにおいてタグをチェックすることの意義は、MLB Authenticationの認証の無いジャージーの真贋判断の手がかりが得られることになります。

別の記事でも言及しましたが、実使用ジャージーに直筆サインのCOAがついていたとしても、それは「サインのCOA」に過ぎず、実使用であることを直接証明するものでは無いことに注意が必要です。

 

そのような無鑑定のGUジャージーを手にする際にタグをチェックすることで、無用なリスクを低減させることができます。

 

 

 

トレーディングカードにおいてタグチェックの効果

 

トレカ(タグカード)においてタグチェックする効果は積極的効果と消極的効果の2つがあります。

 

そのジャージーがメモリアルイヤーのものかどうか確認できる
例えば、同じジャージーでも「ルーキーイヤー」と「2年目」では自ずと重みは違ってくるでしょうし、
また先程のチッパーの例のように引退年のジャージーとなれば格別の思いも抱くでしょう。
いわゆる「凡百なジャージー」と「特別なジャージー」を見分ける手段となります。

 

 

偽物/疑問カードの可能性をチェックできる
タグチェックをしていると選手のキャリアと一致しない、または結構無理がありそうというものもあります。
誰も入札しないタグカード…

このように考えると、「フルサイズメモラビリア」「トレカ」いずれのコレクションにおいても、タグチェックは有効であるといえるのではないでしょうか。