【Fake/Forged】フェイク業者の一斉捜査作戦〜オペレーションブルペン〜

 

 

Q.オペレーションブルペン」とは何ですか?
A.アメリカで実施されたスポーツメモラビリア詐欺に関する大規模摘発です。

オペレーションブルペンとは

「オペレーションブルペン」とは、1999年、FBIが実施したスポーツメモラビリア偽物業者ネットワークの一斉摘発作戦の通称です。

400人以上の捜査員が約60件の捜査令状に基づき、5つの州の住宅および企業を捜査。

その結果、14人以上が有罪判決を受ける一大詐欺事案が明らかになりました。

 

 

当時の偽物事情

FBIは、偽物がスポーツメモラビリア市場に占める割合を50〜90%、額にすると年間5億ドルから9億ドルと見積もっていました。


-ディスプレイされていた贋作

これは現在の有料音楽配信市場やスマホアプリ市場に匹敵するほどの規模です。

 

 

押収品

捜査の結果500,000ドル以上の現金と約1,000万ドル相当の贋作が押収されました。



-捜査により押収された贋作群

以下は押収された偽サインの例です。

ベーブ・ルース
タイ・カッブ
ミッキー・マントル
ロベルト・クレメンテ
クリスティ・マシューソン
サイ・ヤング
ロベルト・クレメンテ
マーク・マグワイア
サミー・ソーサ
トニー・グウィン
マイケル・ジョーダン
モハメド・アリ
ジョージ・ワシントン大統領
エイブラハム・リンカーン大統領
セオドア・ルーズベルト大統領
ジョン・F・ケネディ大統領
ロナルド・レーガン大統領
マザー・テレサ
ジェームス・ディーン
マリリン・モンロー
エルヴィス・プレスリー
ウォルト・ディズニー
チャールズ・チャップリン


-贋作サインボールの山


-ペンキを使ってエジングされたサインボール

これらのなかでマザー・テレサのサインボールは、その奇抜さから本件の象徴となっています。

-マザーテレサのサインボール

 

 

オペレーションブルペンの影響

①カットオートの偽物作り

FBIの報告書によると、この贋作ネットワークでは、それまで無かったカットオートの偽物を作っていました。


-偽物を作っている様子(FBI撮影)

その作り方は、選手と同時代の紙とインクを用いるという手間のかかったもの。

オペレーションブルペン以降、カットオートの贋作が世に出てくるようになります。


-ベーブルースの贋作サインに使われたルースと同時代のインク

 

②MLB Authenticationの発足

MLB機構が実使用アイテムを認証、販売するMLB Authenticationは、このオペレーションブルペンを契機として発足したものです。


-MLBホログラムシールのサンプル

ネットワークの中には偽物と知りつつ証明書を発行していた業者がいたため、この反省を踏まえMLBが自ら証明する制度を設け、今に至ってます。

 

 

教訓

オペレーションブルペンを通じて、FBIはコレクターに以下のように警告しています。

①安すぎるのは偽物の可能性大

②証明書は保証書ではない

③サイン時の写真は本物であることを保証しない


-偽物業者がアリの偽サインを売るために使用していたツーショット写真

④偽物は本物に混ぜられて売られることもある


-偽物業者の店舗にマダックスを招き、サイン会を開いた際の広告。後にサイン会で得た本物と偽物を混ぜて販売。

 

 

参考文献

✔️『Operation Bullpen』Kevin Nelson

✔️ John olson operation-bullpen muhammad ali forgeries

✔️ Operation Bullpen Endures, Public Fascination Continues

 

【Fake/Forged】フェイク業者の一斉捜査作戦〜オペレーションブルペン〜」への3件のフィードバック

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