Q.SGCグレーディングでポイントになるのはなんでしょうか。
A.旧制度ではセンタリングが完璧でないと100点が取れないという点です。
SGCグレーディングプロセス(2015年時点)
PSAは自らグレーディングプリセスを紹介していますが、SGCのプロセスは意外と知る機会がありません。
そこで2015年当時の情報ですが、SGCのプロセスの概要について見ていきましょう。
レビュー体制
鑑定人2人でカードの鑑定を行い、そのうち1名は上級の鑑定人です。
1人は現物カードを目視で鑑定し、もう1人はカードをスキャンし、画像での機能を使いながら印字の欠落や小さなシワなど肉眼では見落とされやすい欠陥のチェックを行います。
真贋判断
一番最初に行うのは提出されたカードの真贋判断です。
暗室にこもった鑑定人はライトの下で、カードの表裏を調べ、それが偽物である証拠を有していないかチェックします。
※以下の画像はPSAのグレーディング風景ですが、イメージとして掲載しています。
状態判断
本物であると判定されたカードは、次に「状態」の鑑定に移ります。
主な鑑定項目は以下の5項目です。
①センタリング
②コーナー
③エッジ
④折り目(crease)の有無
⑤表面
ポイントは「折り目」
状態の優劣を決める大きな要素の1つは折り目だとSGCはいいます。他の要素で88(PSAでいう8)を取れるものでも折り目により50(PSA4)に下がってしまったことも。
折り目には「保管中の折れ」のほか、印刷過程のシワもふくまれます。
センタリングの重要性
鑑定項目の中で今後の重要性が増すであろうと思われるのがセンタリング。
ちなみにセンタリングの評価とは大まかにいうと以下のとおりになっています
PSAのインタビュー記事の中でも「センタリングに対する要求がPSAがスタートした20数年前に比べて厳しくなっている」とのコメントがありました。
また、後述するようにSGCとPSAの最上位の相違はセンタリングにあります。
コーナーやエッジ、表面などはパックアウト後の保管状態に左右される部分もありますが、センタリングは印刷位置の問題のため、カードが出来上がった時点で優劣が決してしまいます。
ある意味で保管環境や意識が高くなった現在では、それ以外の要素が鑑定を左右するようになるのは必然なのかもしれません。
PSAとSGC(100pt制)のグレード対応表
参考情報により若干の相違はありますが、大まかな目安としてSGC(100pt制)とPSAのグレード対応表を掲載します。
ここで言及が必要なのは、SGC98=PSA10になっているところ。
「なんでSGC100ではないの?」という疑問が出て然るべきですが、これは「センタリング」の許容度に相違があるからのようです。
PSA10(Gem-Mint)は前面のセンタリングで55/45〜60/40を許容しますが、SGC100はオフセンタリングを許容しません。
またSGC98でもセンタリングは55/45以上を求めているようです。
蛇足ですが、PSA10がセンタリングのズレを若干でも許容しているので、オークションなどで「状態完璧」と謳っているものをみると「SGCで100取れるのかな」と思ってしまいます。
10pt制になってSGCのセンタリング基準がどうなっているのかは確認できていませんが、素人にはチェックが難しいセンタリングが上位グレードの肝になっているようです。
SGCからPSAへのクロスオーバー
クロスオーバーとは「一度鑑定されたカードを別の鑑定会社に提出して鑑定結果を比較すること」をいいます。
クロスオーバーをする人の理由は様々。
「より良い鑑定を求める」
「ケースとカードの組み合わせの好み」
「マーケットで売却するときの受けの良さ」
アメリカの掲示板ではSGC、PSA、BGSのクロスオーバーについて議論されています。
それらを見ましたが評価が上がっているケース、変わらないケース、下がっているケース、それぞれあり、クロスオーバーしたほうが良い/しないほうが良い、を一概にはいえない気がします。
一方で、クロスオーバーしたことが良いように思えたのは、シリーズで揃えている場合。
例えば、T206をSGCで揃えているので、BGSのT206を入手した後SGCにクロスオーバーしたというのは統一感があってよかったです。
日本ではSGCは申込窓口がありませんが、集め方によってグレーディング先を変えるのも楽しみ方の1つですね。