Q.SGCってまだあるんですか。
A.あります。
SGCの設立から低迷(?)、そして巻き返しへ
SGCことSportscard Guaranty,LLCは1998年に設立されたカード鑑定会社です(PSAは1991年、BGSは1999年に設立)。
設立はBGSとさほど変わらないのですが、日本での馴染みは希薄で、アメリカでもPSA、BGSの次に挙げられる三番手の地位に甘んじている感がありました。
とくに100ポイント制の評価がわかりにくく、PSAのGem Mint 10に相当するのがSGCの「98」、同じく9に対応するのが「96」、同じく8.5に対応するのが「92」と煩瑣なことも不人気の一因だったと思われます。
しかし、トリミング問題やブラックラベル問題により2大鑑定会社にコレクターの不審の目が向けられているのを尻目にSGCは改善を推し進め、着々と足場を固めてきました。
ロゴの一新
SGCのロゴは長らく天秤をモチーフにしたものでした。
これは鑑定の公平性を表す意匠としては正しいものでしたが、天秤自体を使う機会がない昨今では時代遅れの印象を与える効果しか生み出していませんでした。
そこで、20周年を迎えた2018年にロゴをポップな「SGC」に変え、企業イメージを一新しました。
鑑定結果の採点を10ポイント制へ変更
合わせて、これまで頑なに維持してきたグレーティング結果の100ポイント表記を、10ポイント表記に変更しました。
上述のような煩瑣な読み替え作業を好まないコレクターにとってこれはSGCを利用しやすくなる変更といえるでしょう。
鑑定部門の強化・新設
今やトレーディングカードには欠かす事ができなくなった直筆サインの鑑定力を強化するため外部から有力な鑑定人の招聘するとともに、鑑定領域を広げるため新たにgame usedジャージーの鑑定部門も設けました。
これまでのところこの施策は成功しており、特に鑑定を手がけたゲーリッグのユニフォームはルース以外のgame usedジャージーとして最高額で落札されています。
鑑定済みカードの高解像度画像の提供
インターネットを介した売却やオークションではグレーディング結果と鮮明な商品画像が売買成立を左右する事から、SGCは依頼人に対しグレーディング済みカードの高解像度画像を提供し始めています。
これにより鑑定完了後、すぐに依頼人はオークション等を開始する事ができ、またオークションの入札者は綺麗な画像でアイテムを確認できるようになりました。
利用しているコレクターにも好評のようです。
アンカットシートの裁断サービス
上記の施策に加え、SGCは更にアンカットシートを定められたカードサイズに裁断するサービスもスタートさせようとしています。
カットアウトされたカードはケースに入れられ、ラベルのグレーディング数値の上下に「sheet cut」の文字が入れられますが、
「このサービスは顧客にどんな価値を提供できるのか」
「カットされたカードをPSAなどに持ち込んでパックアウトカードのように仕立てる懸念があるのではないか」
など疑問の声も上がっており、本当に事業としてローンチできるのか不透明な部分があります。
このようにやや疑問が残る点もありますが、SGCが総じてコレクターに歓迎される施策をスタートさせ、先行する2社を追撃する態勢を整えているといえます。
一方で、大手3社とは違う、極めて不可解な鑑定会社をマーケットでみかけるようにもなってきました。
カスタムカードを鑑定する会社
現在のトレーディングカード業界における喫緊の課題としてあげられるのがカスタムカード問題。
「Zion Williamson Custom Card(Fake Card)問題」でも取り上げましたが、正常なマーケット機能を阻害するものとして業界をあげて防止/排除に取り組んでいる最中です。
そんななか
カスタムカードに対し、さも本物としてグレーディングされたかのような概観を与えているのがGMA社です。
同社はライセンスカード/カスタムカードを問わず、グレーディングの評点を付けPSA等と同じような保護ケースにてカプセル化しています。
カードの状態を鑑定しているだけであれば確かにカードの如何を問わず評点を付けるという理屈は成り立つのでしょうが、
現状、PSAやBGSにおいてフェイクカードは鑑定していないことを踏まえると不適切な行為と受けとめられても仕方がないでしょう。
しかも、グレーディングの点数もちゃんと鑑定してつけているのか極めて疑わしいです(個人的な見解ですが)
海外の掲示板でもGMAの鑑定に対してネガティブな意見が散見されることから、同社を利用することは得策ではなく、また同社の鑑定カードを購入しようという場合にはよくよく検討する必要があるでしょう。
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