【fake/forged】サイナー自身による偽サイン対策

ハリウッド俳優やプロスポーツ選手等の直筆サインは常に悪意ある人間により「偽物」が作られてきました。

これらの偽物に対抗するため、ディーラーは本物に保証書を付け、鑑定会社は真贋判定し、捜査当局は贋作師を摘発しています。

またコレクター達も自らの経験や知見で偽物を発見し、情報共有によって自衛しています。

 

では、選手など「自らの直筆サインを偽造された人たち」は偽物にどう対応しているのでしょうか?

 

偽サイン業者に対する警告

マーベルヒーロー「キャプテン・アメリカ」を演じるクリス・エヴァンス氏はファンにツイートしました。

 

私はいままで決してファンからお金をもらったりしたことはありません。もしあなたが何者かから(私の直筆サインを入手するために)お金が必要だと言われたならば、それは詐欺です。
またそのような詐欺を働いている者へ。あなた達は『ゴミ(garbage)』だ

このようにとても強い調子で、ファンに対しては注意喚起、詐欺師に対しては警告を発しています。

 

このメッセージ以降も偽サインは世に蔓延っていますが、このような毅然とした態度はファンや関係者の意識を高めるのに一役買ったと思います。

 

 

自ら真贋鑑定

スターウォーズのレジェンド、マーク・ハミル氏はツイッター上で直筆サインの真贋判定を行っていました(現在は休止中?)。

 

この真贋鑑定に先立ち、ハミル氏はBBCのインタビューに対し、「本物よりも偽物のサインが多く」「(そのような行為は)心を壊すだけだ」と語っていました。

 

そのうえで、ツイッターでの真贋判定をするつもりがあることを公表し、実際にファンからの問合せに自らの見解を示してきています。

長きに亘り多くのサインをしてきたハミル氏にとって、いくら本人といえども、又は本人だからこそ、多くのファンが注目するなかでの真贋判定は難しいであろうということは想像に難くありません。

 

しかしそれ以上に偽サインがハミル氏を苦しめたことは、氏の次の言葉からうかがえます。

 

(ファンを)失望させ、それは偽物だと言う喜びは無い

 

サインに心躍るようなインスクリプションを添えてファンを喜ばせていたハミル氏が、ファンに偽物だと宣言する苦しさが伝わってくるようです。

 

 

医師と小児患者を支援

NFL・ピッツバーグスティーラーズのQBであるベン・ロスリスバーガー選手。

彼は「とある話」を目にしたことをきっかけに、

難病と闘う子供であるセスと

その担当医師であるスチュラック氏にビデオレターを送りました。

 

私はあなた方のビデオをオンラインで見ました。ドクターがその子にフットボールを贈ったのは本当に、本当にクールです。しかし、とあることに私はショックを受けました。そのフットボールに書かれたサインは私のものではなかったのです。

 

セスとスチュラック氏は大のスティーラーズファンで一緒になってチームを応援していたといいます。

セスが合併症に苦しんでいた時、スチュラック氏はセスを励まそうと贈り物をしました。

それはスチュラック氏が数年前に弟から貰ったロスリスバーガー選手のサイン入りアメリカンフットボール。

しかしそれが偽のサインであることをスチュラック氏は知る由もありませんでした。

 

そのことを知ったロスリスバーガー選手はロッカールームで2人に当てた応援のビデオメッセージを作成したのです。

ビデオの中でロスリスバーガー選手は続けます。

セス、お母さんにちょっと聞いてみてくれないかな?「僕のために何か持っているの?」って。そしてドクター、私はあなたの行動全てに感謝します。あなたは真のヒーローです。

ロスリスバーガー氏はビデオレターのほかにセスとスチュラック氏のために同選手の本物のサインが入ったフットボールを2つ用意してくれていたのです。

 

 

チャリティに協力

NFLアリゾナカーディナルスのTEであるJ.J.ワット選手の話も、ベン・ロスリスバーガー選手と同じく、彼のサインが善意に使われることを知ったことから始まります。

 

癌と闘う子供たちを支援する慈善団体「ヒーローフォーチルドレン」はチャリティのためにワット選手の直筆サイン入りフットボールを用意し、その写真をツイッターに掲載しました。ツイッターの宛先にはワット選手を含めて。

そのツイートは直ぐにワット選手に届いたのですが、そのリプライはヒーローフォーチルドレンが驚くものでした

 

私のサインを偽造した人間は、私の名前の綴りさえ知らない!

画像に移されていたワット選手のサインは「J.J.Watt」ではなく「J.J.Watts」と書かれていたのです。

 

リプライは続けます。

本物のサイン入りフットボールを送るので、私にDMを送ってくれ

ヒーローフォーチルドレンはワット選手に謝意を示すとともに、サインの真正性には全く意識が向いていなかったと告白しています。

 

ワット選手とのヒーローフォーチルドレンのやり取りはツイッター上で交わされていたので、多くの人達がこの経緯を知ることとなり、ワット選手の対応を賞賛しています。

以下はその中の一つです。

 

 

我々が偽サインを掴まないためには

スポーツ選手や俳優たちは、偽サインによってファンが悲しむことの無いよう、多忙な合間を縫って我々に心を砕いてくれています。

 

それでは我々が偽サインを掴まないためにはどうすればよいのでしょうか?

この問いに対し、アッパーデックは以下のチェックリストに従い確認することを推奨しています。

 

①サインの出所について質問する

サインの出所に関する質問をすることは、販売者が正当であるかどうかを判断するのに効果的な方法です。彼らの応答に問題がある場合、または質問をかわしている場合は、信頼できない可能性があります。

 

②セラーの取引歴を確認する

取引履歴を確認して、完了した販売件数、フィードバック、評価などを確認しましょう。商品を販売した商品数が少ない場合や、評価が低い場合は信用できない場合があります。

 

③直観を信頼する

アイテムが極端な割引で販売されている場合、それは疑わしい可能性があります。

 

④調査をする

オンラインで製品と販売者の名前を検索します。サインが正当であるかどうかを判断するには、評判の良い小売業者と比較し、他のバイヤーが外部サイトでレビューを書いたかどうかを確認することができます。

 

インターネットやSNSが発達した現在、色々な人たちが情報を発信してくれています。

アッパーデックが提唱している調査のひと手間をかけることによって偽サインによる悲しみを回避できるのであれば、情報の発信と受領がうまく回っていくような環境を目指していきたいと思います。