【トレカ】グレツキーT206ワグナーの歴史(その0)


今回から数回にわたって世界で最も高額な野球カードである「T206ホーナス・ワグナー」、そのなかでも2000年に100万ドルを超える値が付いた「グレツキーT206ワグナー」の30年に渡る歴史を紐解いていきます。

それに先立ち今回は、「そもそもT206ホーナス・ワグナーとは何か」といった前提知識についてお話ししたいと思います。

 

 

 

T206野球カードとホーナス・ワグナー

 

T206野球カード

T206とは、1909年から1911年にかけて、アメリカンタバコカンパニーが販売するタバコに同封されていた野球カードのシリーズ名です。
今野球カードとは異なり細細いのが特徴です。

T206や当時の様子については「T206のアメリカ社会への影響」を参照ください。

 

ホーナス・ワグナー

1897年から1917年まで主にピッツバーグパイレーツでプレーした野球選手です。

 

 

T206ホーナス・ワグナー

ホーナス・ワグナーのイラストを使用したT206カードです。

このカードはワグナー本人の意向により販売後に回収されたため、現存数が極めて少ないと言われています。
なお、回収された理由として通説は「ワグナーが禁煙家であったため、タバコのカードに自身の姿を使われるのを嫌った」というものですが、一方でワグナーは噛みタバコを愛用していたため「タバコ嫌いというよりも経済的な肖像権の問題」とする説もあります。

 

この現存するT206ホーナス・ワグナーの1枚が、2000年のオークションで100万ドル超で落札されたため、高額カードの代名詞として知られるようになりました

 

 

カードの評価

個々の野球カードの客観的な希少性を評価するため、「当該カードの状態」がものさしとして使われることがあります。
これは同じ種類のカードでも「ヨレヨレ」より「新品同様」のほうが良いというものです。

 

カードはさまざまな過程を経てコレクターの手に届くため、その道中でぶつけられたり汚れたりすることもあります。
またT206カードのような古いカードは、100年もの間印刷当時の姿を保つことはほぼありません。

そのため、古いカードで状態がよいものは希少性が高く、欲するコレクターも多くなり、結果として市場価値が高くなるというわけです。

 

 

カードの鑑定会社と「グレーディング」

カードの評価として「状態」が加味されることから、専門的かつ画一的にカードの状態を評価する業者がいます。
それらを鑑定会社として代表的な業者としてPSA、Beckett、SGCが上げられます。

これらはカードの所有者からの依頼のもと、カードの角が曲がっていないか、エッジ(側面)にめくれがないか、印刷がずれていないか等を細かくチェックし、そのカードの状態を等級(グレード)付けします。
この等級付けから、鑑定会社がカードを鑑定することを「グレーディング」といいます。

 

カードの改ざん(トリミング)

上記のようにカードの状態が良い方が市場価値が高くなるので、状態が良くないものでも実態以上に良く「見せかけて」高く売ろうとする輩が出てきます。
そのために使われる手法の1つが「トリミング」です。

トリミングとは、ヨレヨレになった四方をわずかに切り落とし、ピシッとしたコーナーとエッジを当初から保っていたかのように偽装すること。

これは第三者が勝手にカードに改変を加えることなので、改変が明らかになった場合カードの評価は本来の価値以上に下がります。
そのためPSAなどの鑑定会社でもグレーディングの際に改竄の有無をチェックします