故人の直筆サインを入手できる「Cut Signature」
故人のサインを入手する方法の1つとして確立している「Cut Signature」。
手紙やサインボールよりもコンパクトに保管でき、選手の写真付きが多いのでコレクションとして人気です。
かくいう私も手が届く範囲で集めています。
疑問あるCut Sig.
その一方で、ちょっと「?」と思うものもあります。
例えば
これらのように貼り間違えや・・・どうにもAuthenticサインと「異なる特徴」のサインとか。
Legendary cuts Joe McCarthy
某オークションに出ていたこのCut Signature。
サイン部分
ヤンキースの名将、ジョー・マッカーシーです。
そして、以下は同じくマッカーシーのサイン。サンプルとして別々の場所から引っ張ってきました。
PSAサイトより引用
『Baseball Hall of Fame Autographs』(Ron Keurajian著)より引用
『Baseball Autograph Handbook』(Mark Allen Baker著)より引用
これらのサインとCut Sig.と見比べてみると、何か受ける印象が違います。
違うと感じる原因を明らかにするため、もう少し比較してみましょう。
PSA画像その1との比較
上の画像がCut Sig.、下の画像がPSAその1です。
わかりやすく、同じ文字は同じ色の円で囲ってみました。
以下比較です
「J」(赤円):傾きと下側の膨らみが異なっています。
「C」(黄円):PSAのほうは「G」のように書き終わりが内側に入り込んでいます。
「a」(緑円):Cut Sig.のほうは「o」に似ていますが、PSAのほうは「a」の形に忠実です。
「y」(青円):PSAのほうは「y」の下方に「−」が引かれています。
PSA画像その2との比較
上の画像がCut Sig.、下の画像がPSAその2です。
「J」(赤円):角度と下側の膨らみが異なっています。
「v」(紫円):これはミドルネームの「Vincent」の頭文字です。PSAのほうは書き始めと書き終わりに強い「引っ掛け」があります。
「C」(黄円):PSAのほうは「G」のように書き終わりが内側に入り込んでいます。
「a」(緑円):Cut Sig.のほうは「o」に似ていますが、PSAのほうは「a」の形に忠実です。
「y」(青円):PSAのほうは「y」の下方に「−」が引かれています。
Baseball Hall of Fame Autographs(BHFA)画像との比較
上の画像がCut Sig、下がBHFAの画像です。
「J」(赤円):角度と下側の膨らみが異なっています。
「C」(黄円):BHFAのほうは「G」のように書き終わりが内側に入り込んでいます。
「a」(緑円):Cut Sig.のほうは「o」に似ていますが、BHFAのほうは「a」の形に忠実です。
「y」(青円):BHFAのほうは「y」の下方に「−」が引かれています。
Baseball Autograph Handbook(BAH)画像との比較
上の画像がCut Sig、下2つがBAHの画像です。
「J」(赤円):角度と下側の膨らみが異なっています。
「C」(黄円):BAHのほうは程度の違いはありますが、いずれも「G」のように書き終わりが内側に入り込んでいます。
「a」(緑円):Cut Sig.のほうは「o」に似ていますが、BAHのほうは「a」の形に忠実です。
「y」(青円):BAHのほうは「y」の下方に「−」が引かれています。
見ていただいた通り、
私が各所から引っ張ってきたサイン同士は特徴が一致するものの、
Cut Sig.とはいずれも同じポイントが一致しませんでした。
経年による変化?ミス?第三者からによるFAKE?
私はプロではないので直筆サインの鑑定はできません。
しかし、素人コレクターとしてアイテムを吟味する程度は行なっており、
今回のCut Sigは他のサインと異なる特徴を持っている「疑問カード」と判断しました。
ちなみに
Cut Sigの下側に「1926」と記入されているため、PSAその1には「1929年」のサイン、BHFAには「1930年代」のサインを選んでいます。
また、
「小切手の署名」と「ファンへのサイン」では書体が異なることがあるため、PSAその2は小切手を選びました。
正直なところ、このCut Sigが本物なのか、メーカーがFAKEを掴んでしまったのか、カード発行後に第三者が差し替えたのか、詳細は分かりません。
ただ、「今」あるカードは少なくとも私には「疑問カード」のように見えており、相当検討しなければリスクテイクできないというのが事実です。