【実使用】タグカードの年代調査

Q.ジャージーカードに使われているジャージーの年代は特定できますか。
A.タグやパッチがあれば特定できる可能性が高いです。

GUアイテムの年代特定

Game Usedアイテム（以下「GUアイテム」）は、それが使用された年代、更には使われた試合まで特定されることが好まれます。

それは
そのアイテムが選手とどんな時期を一緒に過ごしてきたのかを知ることにより思い入れが増すという「ポジティブな理由」
と、
ある程度詳細に特定されていればそのGUアイテムがフェイクである可能性が低くなるという「ネガティブな理由」
とに拠るのだと思います。

MLB Authentication やPhoto Matching鑑定がコレクターに受け入れていることはその証左となるでしょう。

一方、そのGUアイテムが挟まれているトレーディングカードでは
Topps社が高額商品にMLB Authenticationを付与するようになりましたが、
多くの場合、そのメモラビリアが使用された年代は明らかにされていません。

タグ等を手掛かりに年代を推定

個人的にはトレカでもジャージーやバットの使用年代は明らかなほうが
カードに愛着を持てるため好ましいと考えています。

では、実際にはトレカのGUアイテムの使用時期を調べる方法はあるのでしょうか？

一概には言えませんが、ジャージーのタグやパッチが明らかであればある程度年代を絞り込むことは可能です。

そこで、以下では元ヤンキース Derek Jeter選手のカードを例に取り、実際に年代を推定してみましょう。

ロゴからメーカーを推定

今回調べる対象は
2019 Leaf In the Game Sports The Chosen Few Derek Jeter
です。
参考にする資料は『Game Worn Guide to MLB Jersey』です。

それでは早速調べて行きたいと思います。

まず、タグを見てみると、左側に「青と赤のロゴ」の一部と「ELL」の文字が見えます。

これはRussell社のロゴであることから、このジャージーが同社製であることが分かります。

ヤンキースは1992年から2004年までラッセル社のジャージーを採用していたので、チームとメーカーの組み合わせに齟齬はありません。
なので、以後、「Russell社製のジャージー」という前提で調べていきます。

ロゴ／タグの使用時期

次にこのタグが使用されていた時期を絞り込んで行きます。

カードのタグは、左側に「メーカーロゴ」、右側に「サイズ」が配されています。

この構成に合致するRussell社のタグを調べてみると、1992年前半のものと一致します。

・・・・1992年？？？？

ジーター選手は1992年のドラフト組です。

そのジーター選手が1992年前半のヤンキースジャージーを着用していた？

ここでちょっと矛盾が生じます。

この矛盾を解消する選択肢はいくつか考えられます。
A．92年製ジャージーを入団後着用する機会があった
B．1992年という年代特定が間違っている
C．ヤンキースではなく高校時代のユニが使われている（この場合、高校時代のユニのメーカーから調べ直す必要があります）
D．そもそもジーターのGUジャージーではない

そこでよくカードを見てみると、タグが貼られている生地が通常のジャージーではないことに気づきます。

これはパンツのウェスト（ゴム部分）と同じ生地なので、
このカードにはジャージー（上着）ではなく、パンツが使われているということが明らかになりました。